成功や幸せを遠ざけ、自己重要感を守る「上っ面」


山本真弓



住民税の報告書が届いてないらしく、役所に行ってきた。


私が役所を好きな理由は、入った瞬間に見える虚栄と警戒心といった空気が人間らしくて好きだからだ。



役所に行くと丸裸にされる。



納税額も、扶養家族数も、受けている行政サービスも、データはそこにすべてある。



裸にされて警戒するから強がる。


その強がり方が人それぞれ。


世界にひとつしかないオリジナルだから最高に好きなのだ。



受付票も取らず、窓口に身を乗り出した短パンとサンダルがおしゃれな60代後半らしき男性は、生活にゆとりがあるように見えるのが、受付票も取らない行動と一致しない。



これが実に人間らしくて笑えるのだ。



窓口にグッと身を乗り出すとその人は、「1つ聞きたいことがある、あのね」と言って書類をひらひらさせて係を呼び、ノンストップで事情を説明しはじめた。



どうやら、すでに年金から住民税が天引きされているのに、また請求が来た…という趣旨だった。




で?どうなの?


あぁなるほど。



自分から話しかけたのに、部下の訴えを聞いてやっている風にいつの間にか会話の主従が変わってしまう不思議な話法。



こんな金額のことでとやかく言いたくないんだけども、筋を通さないといやなんだよね。



という筋方向で話を進めていたのは、本当は「金」方向の問題だからこそ暑いなかやってきているわけだよ。



ねぇ、おしゃれなおじさま?



それを隠そうとして、部下に「筋を問う」みたいな口調になってる。


と私は心のなかで微笑んだ。




いわゆる「上から目線」というのか、退職前はそこそこの役職にいたのか。




その後、国民健康保険課に行ったら、隣で手続きをしていた男性は、「なんかね、使える制度があるみたいで、もしあるんやったら使おうかと思って。ただその程度の気持ちやったんです」



こちらは低姿勢&上機嫌。



いそいそと書類をカバンに入れながら、切羽詰まってない感じを出したい風で口がとても滑らかなのは営業職?



と心のなかで微笑む私はと言うと、何も言わないでニコニコしてるからって舐めるなよ感が滲み出ていたと思う(笑)



人は、なぜ手続きをするときに気取ってしまうのだろうか。



クレジットカードにサインするとき、ちょっと気取ってる人は多い。



あれはサインという行為のなせる技で、自分は社会的に認められてる証だからか?



いずれにしろ、会社の上司風おしゃれなおじさんも、上機嫌な切羽詰まっていない風おじさんも、ニコニコしてるからって舐めるな風おばさん(私)も、やっていることは、相手にとってはどうでもいい一人芝居。



そんな芝居、しなくていいですよ…って役所の人は思ってる(かも)。



 


あるがまま行動しなかった後悔は、後を引きます。



ときには何週間も、何ヶ月も。



何年も経ってから、ふと思い出すときさえあります。



それとは反対に、行動して思い通りの結果がでなかったときの後悔は、すぐに忘れてしまいます。



こんなことやらなきゃよかったと一度は思ったとしても、何日も後を引くことはないんです。



だから私は、どん底を味わって以来、やらなかったことの後悔はしないことにしています。



後悔の念はじわじわと自分を疲弊させます。



過去の行動を後悔しているだけで、心が疲れてしまうのです。



だったら、行動する!


やらないよりやる。


変な人と思われてもいい、自分がとりたい行動をとる。




そういうふうに、自分で決めたことをやり続けていたら、10回のうち1~2回は、うまくいってることがわかったんです。



その後、何年も経って、うまくいってる(ように見えた)ほとんどの人は、うまくいかなかったほうが多いということを知りました。



会社の上司風おしゃれなおじさんも、切羽詰まっていない風おじさんも、ニコニコしてるからって舐めるな風おばさん(私)も、10回のうちうまくいかなかった8~9回を隠しているのです。



私はそれを知ってから、あるがまま行動することこそが、もうすでに成功に向かっているのだと納得できたんです。



虎の威を借る狐と言われてた私は、思い切って狐の面を取ってみれば、マジ虎でした。



理解力のある私に見えるためには、虎というイメージが邪魔だった。



それが成果を取りこぼしていたんです。



安心と退屈はセットです。


不安と挑戦はセットです。


挑戦と失敗はセットです。



幸せは、退屈と不安と挑戦と失敗がパッケージされたものが「幸せ」なのです。



誰もメリットだけ選べないんです。



幸せの単品はないんです。



そんなこともあったよね


って言える全部ひっくるめて幸せなんですね。



したいのに出来ない人も、ほしいのに手に入らない人も、一番欲しいものが「自己重要感」だから手に入らないのです。




成功や幸せを遠ざける自己重要感という「上っ面」を取れないのは、「どうなる自分を見たくないのか?」




それがある限り、何を求めても手に入るのは、自己重要感を守る自分なんだ。


山本真弓